シカゴのレイクビュー地区にある日本文化会館は、合気道師範と禅マスターの豊田文夫師によって1977年に設立されました。文化会館のミッションは日本の武道、芸術、哲学といった日本文化の普及に向けて人びとの理解を深めることです。まさに、日本の歴史や伝統、そして文化に触れる絶好の機会を提供しています。
栃木県で生まれ育った豊田師範は、幼い頃から合気道や柔道などの武道を学び、東京にある一九会道場と合気道世界本部（合気会本部道場）で内弟子としてトレーニングに励みました。専修大学の法学部を卒業した後も武道の道を歩み続け、27歳の時にシカゴに移住。アメリカ人に日本の精神と文化を教えたいという想いから「日本文化会館」を開設しました。29歳の若さで合気道黒帯六段を取得するという最年少記録に輝き、その実績は今日でも忘れられることなく称えられています。1985年には米国合氣道協会、199１年には国際合氣道協会、1997年には国際合氣道財団創設という偉業を成し遂げました。
豊田師範は2001年に他界されましたが、その後も文化会館はご家族と有志で運営されています。現在は日本文化を普及する多様な機会を得て、日本文化の進化を取り込みながら幅広いプログラムを実施しています。新しいタイプの学習クラスを提供するほか、個人・団体とのパートナーシップを結びながら、イベントや展示会などを通じて日本文化をより深く効果的に浸透させる様々な方法を開発しています。
パートナーシップの1つに、日本文化・芸術の促進に努めるシカゴの非営利団体・日本芸術財団との提携があります。伝統芸術を維持することに焦点を当て、革新的な芸術コラボレーションを行っています。このパートナーシップは2016年に当時のオバマ大統領が広島を訪れた際、自ら折った鶴と広島平和記念資料館から借りた作品を展示し、訪れた多くの人びとに感銘を与えました。今後もこの連携を継続させ、日本芸術・文化に関する知識を高めるためのイベントやクラスを提供する方向です。
新型コロナウイルスによるパンデミックが始まって以来、文化会館はプログラムをオンラインに移行しました。日本の歴史、芸術、言語をFacebookやインスタグラムを通して共有し、コミュニティの皆さんとのつながりを保っています。例えばFacebookでは、墨絵ワークショップや特別ゲストを招いてエスカピズムやアニメ美学などを模索する「アートアワー」をバーチャルでお楽しみ頂けます。
日本文化会館は日本のアートやカルチャーを通して、平和で穏やかな心を抱く素晴らしい体験ができる場所です。同館がこれからも日本の芸術や文化の推進にご尽力され、益々ご発展されることを祈念致します。
