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TSUNAGU:つなぐー日米の架け橋として活躍する人物を探る
Activ8インタビュー・シリーズ

「TSUNAGU(つなぐ)とは“結ぶ”こと。働き手を探す人と仕事を探す人を結ぶ、異文化を結ぶ― かたちは違えど、私たちActiv8はより良き世界の実現のため「架け橋」となり日夜努力している方々に、心からの敬意を表します。Activ8の新しいシリーズ「TSUNAGU」は、ビジネス、教育、芸術、文化などを通じて日本と北米をつなぐ、インスピレーションあふれる人々を特集します。


第11回 荒川 安史 (Yasushi Arakawa)氏:「KAEN Beauty Design Studio」、「Nail de KAEN」代表、「KAEN Nail Design Academy」講師

今回の「つなぐ人」は、バンクーバーで人気のビューティー(ネイル)サロンを営む荒川さん。あのクィーン・ラティファが立ち寄り、レディー・ガガからも指名されるほどの人気サロンのオーナーは「器用貧乏なことがコンプレックス、だから常に新しい目標を立てて自分を追い込むんです」とどこまでもストイック。やりたいと決めたことは迷わずにやってみる“荒川流の生きざま”をご紹介します。

ホテル業界で働く夢を抱いてカナダへ。

荒川さんは名古屋出身。地元の大学を卒業後、もともと興味のあったホテル業界に就職するためカナダへ留学しカレッジで1年間「ホスピタリティ・マネジメント」を学びました。ところが、大手ホテルでのインターンシップ直前に業界の大規模なストライキが発生。

「実習ができなくなりビザも切れたため、仕方なくいったん帰国しました。幸いカナダでは多くの友人・知人もできましたしパートナーもいたので、再びバンクーバーに戻って働くつもりで調理師免許を取得して準備をすすめていました」。

しかし、ワーキングビザを得てカナダ渡航計画をすすめていた矢先に今度は「9.11テロ事件」が勃発、ホテル内の日本食レストランで働く話が立ち消えに。それでも彼はカナダ息を決行し、カナダでの“第2の人生”を始めます。

「ひとまず知り合いの紹介でインディアン(ネイティブ)・ジュエリーの店で働き始めました。子供のころからモノを作るのが得意でしたし、手先が器用でクリエィティブな仕事が好きでしたから。ショップではウィンドウディスプレイやジュエリー製作の仕事など、結構責任ある仕事をやらせてもらいました」。

「とりあえずやってみよう」で始まったネイルへの道。

1年間働いたジュエリー・ショップでは腕を見込まれ、2号店の店長のオファーを受けるほどに信頼を得ていた荒川さん。それでもずっとこの仕事をするとは思えず、いったん仕事をやめワーキングビザ終了と同時に移民申請(永住権申請)。その間を利用して何かクリエィティブなスキルを身につけようといろいろ学校を探していたとき、友人の女性から勧められたのがネイルの学校でした。

特に興味があったわけでもなく、彼女の「これからはネイルがいいんじゃない?」という何気ない勧めで足を踏み入れたネイルの世界が“運命の仕事”になろうとはその時はつゆとも思ってもみなかった彼の天性の才能は一気に開花し、3か月間の受講を終了したときには「講師をやってみないか」と誘われるほどになっていました。

一歩踏み出すことが、次の道へとつながる

2003年、移民申請の許可が無事に下り、母校でパートタイム講師を務めながら日本人の経営するエステサロンのネイル部門を手伝っていた荒川さんに、翌年大きな転機が訪れます。友人と共にネイル・ヘア・エステ部門を有した「Nail de KAEN」および「KAEN Beauty Design Studio」をバンクーバー市内に立ち上げ、念願の独立を果たしたのでした。

「今から思えば、ビジネスのことを何も知らずに突っ走った感じですね。若いからできたのかもしれません(笑)」と当時を振り返る荒川さん。

「お客様のほとんどは、 “全員が日本人スタッフのサロン”であることに期待をしてきてくださいます。それはデザインの繊細さであったり、サービスの良さ。でも僕のネイル技術は全てカナダで学んだもので、日本の技術とは全くちがいます。店をオープンして最初の数年間は、日本に帰国するたびに勉強したり検定試験を受けたりして、知識や技術を追いつかせるのに結構努力しました」。

その努力が着実に実り、数年後から出場し始めたアメリカのネイルの大会では数々の賞を受賞、業界でも有名なネイリストに名を連ねていきました。

お客様とネイルでつながる。大切な言葉は「初心忘るべからず」。

お店をオープンしてから十何年とずっと通って来てくださるお客様の期待を裏切らないよう、荒川さんが常に心の中で唱えている言葉が、「初心忘るべからず」。

「自分の誇りは、仕事に対するパッション。初心を忘れずお客様に気持ちよくすごしていただけるよう、毎朝店のお清掃をしたり、細やかな気配りに常に気を配っています。また、より多くのお客様とつながれるようSNSやYouTubeでの発信などにも時間をかけてとりくんでいます」。

40歳で迎えたミッドライフ・クライシス。

意外にも、そんな荒川さんの悩みは「器用貧乏なこと」。何でもそこそこうまくできてしまうけれど、道を究めたわけじゃない、それがずっとコンプレックだったのだとか。

「会社を始めて10年が経ったときに、いわゆる“Midlife crisis(中年の危機)”に直面しました。このままでいいのか、自分はこの先この仕事を納得してやっていけるのかと悩んだ時期があって。そのとき大学で“幼児教育”のコースをとりチャイルドケアの免許を取ったんです。あのときは仕事の両立で本当に大変でした」。

40歳にしてなぜ?の問いに、「自分の“コンプレックス”と向き合うには、常に新しい目標を立てて自分にプレッシャーを与えていかないとだめなんですよ(笑)。気持ちの浮き沈みが結構あるほうなので、沈んだ時ほど忙しくして考えないようにするんです」。

コロナ禍を乗り越え、新たな目標に向かって

29歳で独立してから18年間、一見順風満帆に続いてきたビジネスでしたが、荒川さん自身が一番危機感を感じているのはむしろコロナが一段落したここ最近だと言います。

「コロナ禍では政府からの手厚い支援で乗り切れました。現在はコロナ前とくらべると75%くらいしか回復していませんから、不安になることもあります。それでもずっと来てくださるお客様の存在は、本当にありがたいですよね」

これからの目標は「すべてのサービスにおいて“クォリティーを高める”こと」ときっぱり。「それはお店そのもののゴールというより、これからの人生のゴールなのかもしれません。それを達成するために、仕事に対する今のパッションがあるんだと思います」。

才能に誘われるように踏み入れたネイルビジネスの世界、それも海外で成功を収めた理由は、人生の節々で背中を押してくれた周囲の人たちの“見えざる手”、そして初心を忘れない彼自身の謙虚さと仕事へのパッションなのでしょう。

これから新しいキャリアを目指している方へ

「やろうと思ったことは迷わずにやること。人間、なかなか一歩踏み出せないことってあるじゃないですか。でも実行に移さなければ何も変わらない。僕にはそういう決断の瞬間が何年かに一回ありました。でもあまりそれを振り返らない。いいことも悪いことも、僕には過去を振り返る余裕がないんです」。

荒川安史さんプロフィール

N Beauty Design StudioとNail de KAENのディレクター兼経営者であり、KAEN Nail Design Academyの講師も務めている。業界で著名なネイルアーティストである彼は、様々な賞を受賞しており、また講師としても、数々の優秀な生徒を育て、送り出している。

Awards won by Yasushi Arakawa:

NAILPRO COMPETITION at Pasadena 2015 – 3-D Nail Art, 1st Place (Veteran)

NAILPRO COMPETITION at IBS Las Vegas 2014 – 3-D Nail Art, 1st Place (Veteran)

NAILPRO COMPETITION at IBS Las Vegas 2012 – 3-D Nail Art, 2nd Place (Veteran)

NAILPRO COMPETITION at Sacramento 2011 – Hand Painted Nail Art, 1st Place (Veteran)

NAILPRO COMPETITION at ISSE Chicago 2011 – Hand Painted Nail Art, 3rd Place (Veteran)

NAILPRO COMPETITION at Sacrament 2010 – Hand Painted Nail Art, 2nd Place (Veteran)

NAILPRO COMPETITION at IBS Las Vegas 2008 – Hand Painted Nail Art, 1st place (Novice)

NAILPRO COMPETITION at ISSE Long Beach 2008 – Hand Painted Nail Art, 3rd place (Novice)

NAILPRO COMPETITION at IBS Las Vegas 2007 – Hand Painted Nail Art, 5th place (Novice)

◆KAEN Beauty Design Studio / Nail de KAEN

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