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「TSUNAGU(つなぐ)」とは“結ぶ”こと。働き手を探す人と仕事を探す人を結ぶ、異文化を結ぶ― かたちは違えど、私たちActiv8はより良き世界の実現のため「架け橋」となり日夜努力している方々に、心からの敬意を表します。Activ8の新しいシリーズ「TSUNAGU」は、ビジネス、教育、芸術、文化などを通じて日本と北米をつなぐ、インスピレーションあふれる人々を特集します。

第27回 金光航(わたる)さん:「NHKコスモメディアアメリカ」ディレクター

今回はNHKの関連会社「NHKコスモメディアアメリカ」(本社:ニューヨーク)のディレクターとして活躍する金光航(わたる)さんを紹介します。金光さんは、2000年に留学を機に渡米。マーケティングの学位を得た後、20年に渡りメディアの広告営業に携わり日米の情報文化の架け橋として日夜奮闘してきました。金光さんに現在の配信サービスについて、また営業マンとして活躍を続ける秘訣についてお話を伺いました。

北米エリア日本語テレビ放送「テレビジャパン」から配信サービスJme(ジェイミー)」へ

金光さんは現在、配信サービス「Jme(ジェイミー)」の営業ディレクターを担当しています。「Jme」とは、“Japan&Me ー日本と私を繋げる”というコンセプトで、北米地域を対象に2024年春に始まったインターネット動画配信サービス。「テレビジャパン(1991年から33年間続いた北米地域の日本語放送)」の後継サービスにあたります。「テレビジャパン」を視聴するにはケーブル・衛星テレビプロバイダーとの契約を必要としましたが、「Jme」ではネット環境(スマホ、コンピューター、スマートテレビなど)があればいつでもどこでも好きな動画を視聴できるというメリットがあります。提供番組は幅広く、TVサービスは6チャンネル(24時間視聴できるライブチャンネルを含む)、そしてオンデマンド配信は2,400にも及ぶコンテンツを包括(日本と同時期に見られるドラマを含む)。現代の多様化する視聴スタイルやニーズに対応したサービスを実現させています。

広告業界への道のり

幼少期を札幌で過ごした金光さんは、中学生の時に父親の独立を機に、家族で東京に移住。個人事業主として広告代理店を経営する父親の影響を強く受けながら多感な時期を過ごします。都内のファッションビルの広告・セールスプロモーション業務を一人で請け負っていた父親は、案件のストーリーボード(絵コンテ)を見せてくれたり、キャッチコピーについて「この表現とこの表現、どっちが好き?」と金光さんの意見を聞いたり、広告イベントに連れていってくれるなど、日常的に金光さんに広告業界のクリエイティブな世界を見せてくれました。そのような環境の中で金光さんは次第に広告の世界に強い関心を持つようになります。大学では経済学を学びましたが、就職は広告業界を希望。クリエイティビティやオリジナリティが求められる業界だけに、「人とは違った目立つことがしたい」と意気込んで就職活動に臨みます。ある朝、面接に行くために駅のホームで電車を待つ間、何気なく周囲を見ると、規定のリクルートスーツを身に纏った学生が一様にずらっと並んでいます。この“没個性”極まる光景にどこか違和感を感じ、ふと我に返るとあろう事か、自分自身も同じ格好をし、そのスーツの大群の一部であることに気づくのです。「これではいけない。自分の道を切り開かなくては」という気持ちが一層高まっていったそうです。

その後、父親の会社で広告の仕事を2年ほど経験するうちに「広告やマーケティングを本格的に学びたい」という思いが強くなり、かつてから憧れを抱いていたアメリカに留学することを決意。実は両親が付けてくれた「航(わたる)」という名前には「海外で活躍してほしい」という願いが込められているそうです。「名は体を表す」と言いますが、まるでその両親の想いが金光さんの決意を後押しするかのように、2000年、海を渡りニューヨークの大学に編入します。希望に胸を膨らませ始まった留学生活でしたが、言語の壁や文化の違いは想像以上に大きく、非常に苦労したそうです。特に始めの3ヶ月間は、学校以外の時間は引き籠もるほどのストレスを抱えてしまいます。異国の地で感じる不安や孤独の中、日本語や日本の文化に触れることができる環境がいかに重要で、安心感や生活への潤いを与えてくれるかを痛感したそうです。

営業に必要なスキル

卒業後はニューヨークで出版社に就職したのち、現在の会社に転職。それ以来20年に渡り営業を担当している金光さん。広告営業・・・というと華やかで社交性が求められるイメージですが、金光さんは自身を「内向的な性格ですよ」と語ります。「社会人の駆け出しの頃は人見知りで、営業なんてとんでもないと思っていました」と笑顔で話してくれましたが、20年という長い間、営業マンとして活躍し続けるのには何か秘訣があるはず・・・。そこで現職に必要なスキルについて聞くと、「営業は、特筆すべき技能とか、専門の資格が必要なわけではありませんが、人の話を聞くヒアリング力、そして聞いたことに対して質問する力が、業務の中で鍛えられてきたと思います」と真摯な眼差しで答えてくれました。「お客さんとの何気無い会話の中にも、彼らが感じている課題であったり、抱えている問題点がふと出てくることがあるんですよ。それに対して質問を重ねながら具体化させていく。そうしてこそ、最適な解決策を提案することができます。またその為には当然ながら、自分が扱っている商品やサービスに対して知識を増やしていく必要があります」

金光さんは続けて「常にアンテナを張り巡らせて情報収集をすることも大切です」と語ります。「お客さんにはいろいろな業種の方がいるので、様々な業界のニュースやテクノロジーの変化など、普段から知識として取り入れておかないと話が通じなくなってしまいます」。元来、好奇心に富み新しい世界にチャレンジすることが好きだという金光さん。学生の頃から、趣味の読書では特定のジャンルや作家にとらわれず、あらゆる分野の本を楽しみながら知識を得て、価値観を広げてきたそうです。また体を動かすのも好きで、野球、バスケ、テニスなど様々なスポーツにチャレンジしてきたとのこと。中でも高校時代に部活で3年間みっちり取り組んだフェンシングでは「スポーツ界のチェス」の異名を取る競技だけに、瞬発力や体力だけでなく、相手をよく見る観察力や、試合の流れを読む洞察力、そして戦術を考える論理的思考なども鍛えられたそうです。それらのスキルが意外にも、クライアントとのコミュニケーションの中でも活かされているそうです。営業とはまさに、これまで蓄積した知識や積み重ねた経験、培ったスキルや人間性に至るまで、総合的な「人間力」が問われる仕事なのだと思わされます。

写真)高校時代:部活動の風景

キャリアアドバイス

これからキャリアを築いていこうとする人へのアドバイスを聞くと、「まずはやってみること」と答えてくれました。「就職・転職活動にしても、新しい、知らない世界に踏み出すことに恐怖心を感じる時もあるでしょう。でも、興味があることであれば、勇気を出して一歩踏み出してみると、見える景色も変わるし、得られるものもあると思います。またそこで助けてくださる方もいっぱいいるはずです」。

また「常にアンテナを張っておくこと」の大切さも教えてくれました。「情報技術が凄まじい速さで発展していくこの時代、全人類の知能を人工知能が上回る『シンギュラリティ』も近いと言われています。AIの進化・発展により自動化・効率化が進み、無くなっていく仕事も増えていくでしょう。そのような中、私達は人間にしかできない事に集中できるようになり、それこそが将来性の高い分野であると言えましょう。クリエイティビティを要する仕事もその一つだと思います。料理が好きなんですが、あるもので献立と手順を考え、工夫して毎日の食事を用意する家事(料理)なんかも身近にあるクリエイティブな仕事ですよね」と金光さん。

写真)手作り料理の数々

「私自身の就職活動を振り返ると、それまでイラストレーターやフォトショップを使ってイベントのフライヤー(広告)を制作していたことなど、クリエイティブな面を評価していただいたと思いますし、実際の業務の中でもクリエイティビティを発揮して、自分が企画した番組が世に出た時には『良い仕事をしたなぁ』と大きな喜びを感じました。」情報感度を高め、時代に合うスキルを身につけていくことが大切であると教わります。

今後の展望

今後の展望について、金光さんは「『Jme』がもっと広く認知されていくことを望んでいます。『Jme』の理念である“北米在住の日本人に安全情報を伝えていく。生活の潤滑油となるような情報、エンターテイメントを届けていく”という目的は、テレビジャパン時代から変わりません。一層、より多くの視聴者のニーズにあったコンテンツを買い付けて、北米に住む多くの人達の喜びに繋がっていければ」と熱意を燃やします。違法配信サービスが乱立する中で、合法的にサービスを提供する「Jme」だからこそ、視聴者も安心して情報を得ることができます。最後に「金光さんのキャリアに一番影響を与えた人物は?」と質問を投げかけると、「父親です。父は仕事を通して人を喜ばせる姿を見せ続けてくれましたから」と答えてくれました。金光さんはその信念を受け継ぎ、今後も、日本とアメリカを繋ぐ架け橋として走り続けることでしょう。金光さんの更なるご活躍を応援します。

関連サイト
Jme公式ウェブサイト: http://www.jme.tv

 

 

 

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