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TSUNAGU:つなぐー日米の架け橋として活躍する人物を探る
Activ8インタビュー・シリーズ

「TSUNAGU(つなぐ)とは“結ぶ”こと。働き手を探す人と仕事を探す人を結ぶ、異文化を結ぶ― かたちは違えど、私たちActiv8はより良き世界の実現のため「架け橋」となり日夜努力している方々に、心からの敬意を表します。Activ8の新しいシリーズ「TSUNAGU」は、ビジネス、教育、芸術、文化などを通じて日本とアメリカをつなぐ、インスピレーションあふれる人々を特集します。

グレッグ・ベックさん:日本酒ショップ「Sake Secret」創立者、酒ソムリエ

グレッグさんが国際文化に興味を抱くことになったのは、外国の言語や文化への興味を開花させてくれた高校時代の素晴らしいドイツ語の先生のおかげでした。

「17歳の時にドイツに行ったんです。私にとって初めての海外旅行でしたが、すぐに旅行に夢中になりました。そしてまた、ドイツにいる間はドイツ語の習得が格段に早いことにも気づきました」。

アリゾナ大学に入学し、試験を受けてドイツ語の上級クラスに入りましたが、退屈な教授の授業では彼の語学欲を満たすことはできませんでした。そんなとき、次学期の授業に日本語クラスがあることを知り、気まぐれで取ってみることにしたのです。

「ずっと日本の映画やアニメや食が大好きでした。それに日本語クラスのほうがドイツ語クラスよりも多くの単位がとれるし、遅れずにきちんと卒業したいという思いもありましたから」とグレッグさん。最初のコースを取り始めて間もなく、日本への留学制度(Year-in-Japan study abroad program)に参加し、最終的に選考を英語から日本語に変更しました。

日本に渡った20歳の外国人学生は、そこで日本の暮らしや文化と出会います。人生で初めて「酒」と間近に触れたのもこの時でした。大学卒業後、彼は「JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)」に参加しました。

JETプログラムがその後の人生にもたらした影響

JETプログラムで彼は広島に派遣され、外国語教師助手として働き始めました。その後、県庁で国際交流のコーディネーターとして文書の翻訳や地方自治体の様々な仕事の支援を担いました。JETプログラムの同僚が日本の文化に慣れるよう手助けすることも、彼の仕事の愉しみでした。自分のキャリアで最も誇れる体験をこの頃に多く積んだことを懐かしく思い出すグレッグさん。今もJET時代の恩師や友人らと貴重なつながりを大切にしているそうです。

「同じことが一つとしてない、とてもやりがいのある楽しい仕事でした。時には2008年のG8サミットの主催のような、ハイレベルな機能の一端も担いました」。

高校時代のドイツ語の先生を始め、最近ではJETプログラムを通じた多くの人脈など、人生を通して多くの指導者に恵まれたとグレッグさんは振り返ります。彼はJETプログラム卒業生会の南カリフォルニア・アリゾナ支部の会員として、今も活発に活動を続けています。また、過去には同支部で2年間支部長を務めました。

JET後の生活

最長の5年間をJETで過ごしたグレッグさんは、将来への展望を抱いてアメリカに帰国しました。いくつか進路を検討したのち、ニューヨークの東京放送(TBS)支局でテレビニュースのプロデューサーとして勤務することになりました。日本に向けた生放送でニュース速報や特ダネなど、多くのコーナーを担当しました。

「パリからアルゼンチンまで、ありとあらゆる地域のニュース速報を伝えました。カナダで開催された女子ワールドカップも取材しました。ボストンマラソン爆弾テロ事件の取材はかなり強烈な体験でした」。

ソムリエって何ですか?

ニューヨークで5年間を過ごした後、彼はTBSを退社し家族の住むアメリカ西海岸に戻りました。実はニューヨーク時代、彼は趣味で自宅での少量のビールやサイダーの醸造を始めていたのです。(これは日本では禁止されています。)

ロサンゼルスに移ってから、大手日系輸入会社「Mutual Trading」の酒ソムリエ、上野俊男(Ueno Toshio)氏のもとで働いたこともありました。「上野さんは私の知識に感心して、『日本酒について本を読んで勉強すればソムリエになれるよ』と言ってくれました。それに対して私はこう答えたのです。「ありがとうございます!ところで、ソムリエって何ですか?」

上野氏との出会いのおかげで、ソムリエに関する基礎知識を深めやるき満々になったグレッグさんは、勉強した甲斐があって試験に合格し、酒ソムリエの資格をとりました。やがて彼は、ロサンゼルスの南約30キロに位置するロング・ビーチにあるクラフトビールの醸造所で働き始め、同醸造所内で期間限定事業として日本酒ショップ「Sake Secret」を立ち上げることになったのです。

「Sake Secret」が目指しているのは、日本酒のことをよく知らないことによるネガティブなイメージや羞恥心を取り除き、純粋に日本酒を楽しんでもらうことです。「Sake Secret」で販売・宣伝している日本酒の多くは、日本の家族経営の蔵元から仕入れたもの。グレッグさんは、「Sake Secret」を通じて小さな醸造元とお客様を繋ぎ、日常的に家庭で飲むお酒として、日本酒が浸透することを願っているそうです。「南カリフォルニアでは、日本酒に関して知識豊富な人物が、おすすめする銘柄や料理との相性を説明し小売価格で販売しているところは他にないのです」とグレッグさんは言います。

グレッグさんのポップアップショップは、ロングビーチの醸造所内で木曜日から日曜日まで営業中です。しかし、彼はもっと大きな夢を見据えています。2020年来の彼の目標は、ロングビーチに実店舗の日本酒ショップを立ち上げること。2022年末までにこの目標を達成したいそうです。

新しいキャリアをスタートさせる人へのアドバイスは?

広島からニューヨークに向かう前、これから何をすべきなのか、これが自分にとって良い選択だったのかとすごく悩んでいたグレッグさんは、ある方の言葉に感銘を受けたそうです。このアドバイスは彼のその後の人生を左右した為、人生の転機を迎えている方々にも共有したいそうです。「次のステップが君の一生の仕事となるか、残りの人生をかけて続けられる最善のことかどうかなんて重要じゃない。一歩、そして一歩とただ前に踏み出せばいい。何かにトライすれば、すぐに会得する。そこから何かを学び取り、その先に活かすことができる。やってみれば、それが君のやり続けたいことかどうかすぐにわかるし、もしそうでないならば、そこからどの方向に進めばいいのかもっといいアイデアが浮かぶはずだから」。

「Sake Secret」オフィシャルサイト:www.sakesecret.com

 

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