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TSUNAGU:つなぐー日米の架け橋として活躍する人物を探る
Activ8インタビュー・シリーズ

「TSUNAGU(つなぐ)とは“結ぶ”こと。働き手を探す人と仕事を探す人を結ぶ、異文化を結ぶ― かたちは違えど、私たちActiv8はより良き世界の実現のため「架け橋」となり日夜努力している方々に、心からの敬意を表します。Activ8の新しいシリーズ「TSUNAGU」は、ビジネス、教育、芸術、文化などを通じて日本と北米をつなぐ、インスピレーションあふれる人々を特集します。

第12回 Ross Koda(国府田ロス)氏 

カリフォルニア州サウス・ドスパロスにある国府田ファーム(Koda Farms)の3代目社長、国府田ロスさんは、日本とアメリカの文化的つながりを深めることをライフワークとしてきました。国府田ファームでロスさんは、90年以上の伝統を誇る日米の稲作と、近代的で革新的な有機農法の融合に取り組んでいます。国府田家の米づくりというレガシーに加えて、ロスさんは有機米を日本の福島に輸出し、優雅で軽やかな有機純米大吟醸「Uka Sake (うか酒)」を醸造しています。

米で築いた家族のレガシー

ロスさんは、祖父、国府田敬三郎(こうだ・けいさぶろう)氏がアメリカで築いた米作りへの情熱を受け継ぎ、幼い頃から国府田ファームに積極的にかかわってきました。国府田敬三郎の父(国府田ロス氏の曾祖父)は、福島で精米業と仲買業を営んでいましたが、敬三郎は1908年にカリフォルニアに渡り、米作りの夢を追いかけて1920年代に自分の農場を購入しました。

敬三郎は根っからの革新者で、飛行機を使った種まきや栽培工程における品質管理の改善など、新しい稲作技術を開発しました。大きな成功をおさめた敬三郎は、日系アメリカ人の間で “ライス・キング (お米の王様)”と呼ばれるようになりました。現在、敬三郎の孫であるロスさんと姉の国府田ロビンさんが、先祖の偉業に敬意を払いつつさらに革新的な夢を受け継いでいます。


写真(右)ロスさんのご祖父の国府田敬三郎氏。(左)国府田ファームの田んぼにたつロスさん

日本とアメリカの架け橋に

米作りと同じくらい敬三郎が熱意をもって取り組んでいたことは、同胞である日系アメリカ人の福祉の改善でした。そしてまたロスさんも、それに特別な意味を感じていました。

「祖父は常に日米の関係を促進する方法を模索していました。日本人研修生のアメリカでの就農を支援し、彼らがアメリカの農業を学べる手助けをしていました。また、たびたび日本を訪れて、”アメリカンドリーム “を築いた自らの経験を語りながら、若い人たちにアメリカを訪れ、勉強し、生活することを勧めていました」。

今の時代、日米二国の文化をつなぐための新しい方法がいくつかありますが、ロスさんが選んだそれは、国府田ファームの米の新しい使い道を探すことであり、彼の生涯のテーマでした。有機栽培米を輸出するために日本へ出張していたとき日本酒とその味に興味をそそられた彼は、国府田ファームの有機米を使った酒造りを思いつき、自社ブランド「Uka Sake」を立ち上げたのです。

「私は常々、祖父の遺志を受け継ぎ日本との架け橋になりたいと思っていました。祖父の故郷に近い、福島の有名酒造「人気酒造」で米国産の有機米を使った日本酒を手作りしてアメリカで販売することは、その目標を実現する素晴らしい方法だと思ったのです」。

カリフォルニアの国府田ファームと福島の人気酒造の緯度が同じ位置を示す地図

変革の物語

「Uka Sake」はビジネスだけでなく精神面でもやりがいのあるプロジェクトでした」とロスさん。米作りは彼の人生にとってなくてはならないものであり、自家農園の有機栽培米からまったく新しい酒を開発することで、彼自身の功績を通じて祖父のレガシーにさらに敬意を表すことが可能になったのです。

「私が「Uka Sake」で唯一叶えたかった目標は、先祖に喜んでもらえるものにしたい、ということでした。彼らが私のために耐え忍んだ数々の苦労と犠牲に敬意を表したかったのです」とロスさんは言います。

「Uka」を日本語にすると「羽化」。墨絵風の蝶のロゴマークが、それを表現しています。まさに蝶が幼虫から羽化し美しく羽ばたくように、国府田ファームの有機栽培米は、精米と醸造を経て優雅で洗練された清酒へと生まれ変わるのです。さらに「Uka」の蝶の下側の羽の部分には、カリフォルニアと日本の福島の地図が描かれており、日本とアメリカの絆を深め、関係を育みたいというロスさんの思いが込められています。

国府田ロスさんがつくる3種類のオーガニック日本酒。左からUka Black Label, Uka Dry, Uka Sparkling

人とのつながりを大切に

日々の運営スキルに加え、次々と洗練された日本酒を開発するなど、国府田ファームのリーダーとして優れた手腕を発揮するロスさん。これまで築いてきた人とのつながりに心から感謝し、彼らの助けがなければ夢を実現できなかっただろうと振り返ります。

オーガニック酒を造るのはロスさんの発案でしたが、「Uka」をこの世に生み出すために欠かせないキーパーソンに出会えたことは、ロスさんにとって幸運でした。

「福島で目的にかなう酒蔵を見つけるには、助けが必要でした。国府田家の年代記著者で、長年にわたり家族ぐるみの関係であるイデ“ハンク”ヒデオ氏が審査をして推薦してくれました。下の羽がカリフォルニアと福島の形をした墨絵風の蝶のブランドロゴは、国府田ファームのドキュメンタリー映画『Seed』を共同監督したババ・マサノリ氏の傑作です。マイケル・ジョン・シムキン氏とは、私の従兄弟の紹介で幸運にもお会いできましたが、彼の数十年にわたるワイン、蒸留酒、日本酒の経験と知識のおかげで、我々は全米規模の顧客基盤を確立する最高のポジションを得ることができました」。

日米両国で得たこの有益で協力的な人脈があったからこそ、「Uka Sake」に最高の成功の機会が与えられたのだと、ロスさんは確信しています。彼にとってこの成功はコミュニティを大切にするための強力な教訓であり、全ての人に自身の人生の中で実践してもらいたい原則でもあるのです。

写真(左)国府田ロスさんとご家族。(右)初めて福島の人気酒造を訪れたロスさん。左はイデ“ハンク”ヒデオ氏、右は蔵元CEOの遊佐勇人氏

新しいキャリアを目指す人へのアドバイス 

新しいキャリアを歩もうとする人へ向けてのロスさんからのアドバイスは「人に優しく、寛大であること。そうすれば、あなたを喜んで助けてくれる人や相談に乗ってくれる人、アドバイスをしてくれる人があなたの周りに集まってきます」。そしてまた、自分自身に投資すること、目的達成のための自己の可能性を信じることもまた大切だとも。

「自分自身を信じ、結果の成否にかかわらず自分のやったことに責任を持つことです。自分のアイデアを実現するために戦い続け、大変なストレスに耐え、全てを賭けることができるのは、あなただけなのですから」。

国府田ファーム: Website / Instagram

Uka Sake: Website / Instagram

 

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